エコロジーへの戸惑い

先週、湯呑み、ごはん茶碗、皿等を見に行き、支払いが一万円を超えた。それぞれ新聞紙で包み、紙袋に入れると五円、ビニール袋は三円と言われた。以前から有料云々を聞くのが耳障りだし、納得がいかなかった。人に意見を求めても、時代だからと諦め顔で苦笑する。更に追い討ちをかけるようにコンビニ等で持ち帰り食品につけるプラスチック製フォーク、スプーン、ストロー他が有料になるそうだ。いっその事、容器も有料にしたら如何だろう。

過剰包装をセーブし、地球環境を破壊するプラスチック等のゴミを減らすのは、時代の要請と言える。しかし、いくら行政命令があるとはいえ、少なからぬ代価をいただいたうえ、販売側が持つべき最小の経費を、エコに便乗して、少しでも削減しようとする姑息さが垣間見えるので、穏やかな気持ちにはなれない。因みに当方で、何百円〜千円位の葉書や、千数百円のカレンダーだけをご購入いただく場合、軽く包み、体裁が悪くないよう、袋もつけて差し上げている。もっとも、買い物をする際、レジ袋代等を取られるのが嫌で、皆がエコバッグを持ち歩くようになれば、政府の狙いは、半歩前進するのかもしれない。しかし、それをいうなら消費者には、毎回、僅かでもキャッシュバックしたら、より一層、エコ意識が徹底し、民意も高揚するに違いない。政府は、産業界に忖度し、小売業界には、協力させる為、多少の利益を還元する。消費者は、いつも利用されるだけである。日本の消費者庁、環境省等は眠っているのだろうか?

日本では、売買の商習慣として、お互いを慮る風潮があり、どちらも一般的に、金銭と等価値と思われる物を交換することに負い目はなく、ウインウインの関係が成立する。消費者は、商品と価格にある程度満足し、王様意識は少なく、たつ鳥跡を濁さずの感がある。商店側もプライドが高く、以前見られた、もみ手をする様な卑屈な態度を取らないし、最終的に、どんなかたちと態度で商品を渡すかが大事である。この気遣いの文化とも言うべき良き関係を壊したのが、政府の泥縄式エコロジー政策である。本来なら政府、産業界、小売業界、一般消費者等官民一体となって解決しなければならない気候、地球環境の変化、資源の有限化等エコロジーの懸案を自らは、棚上げし、消費者に委ね、責任を転嫁しているかのようだ。

地球上の人類、各動植物が生き残る為には、資源が有限であり、持続できる循環型経済を志向しなければならないし、これ以上環境を破壊すれば、地球が生き残れないと危惧されている。大半の国は、そのことを理解し、共同歩調を取るべく準備をしているようだ。世界各国の会議でも、日本の政府が、協調できる旨、たまさかアピールしているが、先進国としての責任を回避し、リーダーシップを発揮しているとは思えない。課題は、タイムテーブルムの俎上に載せられ、待ったなしである。日本政府が、この崇高な理念に目覚め、予算をつけ、産業界等を督促し、持続可能な循環型経済社会の到来を実現する道筋を示せば、国民だけでなく、世界各国からも称賛されることだろう。そんな多数の人と噛み合う政策の実現を期待したい。

この記事を書いた人
伊藤武

斎藤清の出生地、会津で斎藤清版画ギャラリー「イトー美術」を運営している、いとたけ こと伊藤武です。
http://itobi.sakura.ne.jp/

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