時給、0円〜 あなたの話、お聴きします

世の中には、自分を含め、人と繋がりの少ない人が大勢いると思う。
生来、人と話したくない人・子供の頃から友人、知人がおらず、RETIREしたらまったく寄る辺のない人・信頼できる家族を亡くした人・何かがきっかけで世間と距離を置いている人達が、家庭内に留まらず、もっと街に出て人と関わり合いを持てば、街の賑わいが戻ってくると思う。

当方としても、お客様以外の方とも接点を持つべく意識してきたつもりだが、なにぶん美術品を扱っている店なので敷居が高く見られ、敬遠されたり営業上のTALK になってしまうのも否めない。少しでもそんな出会いの場所として、役に立てればと思っている。

私の七つ上の長兄はキレ易く、家族の中で浮いた存在であり、私とも不仲であった。
亡くなる少し前、ローソンのイートインで、頷き、促すだけで、話を聴くことに終始してみた。以前から多少難聴もあり、話し合い、会話等ができなかったが、誰にも遮られず、否定されることなく、自分の思いの丈を滔々と話していた。

生気が漲り、楽しそうで、輝いていた兄の姿が忘れられない。何故自分が気づけなかったのか。相手を肯定することで、人間関係が飛躍的に改善され、発展したかもしれなかった。
家族から疎外させていたのは、自分に原因があったのではないか。悔恨の気持ちもあり、自分が何か出来るとしたら、人の話に安易に頷いたり、促したりするだけでなく、理解と興味をもって聴くことであり、話を引き出すことだと思った。

今のGALLERYでも可能だが、別空間で話ができればなおさらいいと思う。
今まで通りお客様との対応は変わらないが、その他の方との接し方も時間の許す限り模索していかなければならない。

一案として、時給0円〜話しを聴き、時間と経済的余裕のある方に対しては、それなりのCOSTを考慮していただくのは如何であろうか。

本来、行き場のない方に対する自分の思いを多少でも叶えるためであったが、時間潰し・STRESS解消に利用されたり、成功譚、自慢話、心情、情報、知識の羅列等を長時間、一方的に話され聞かされるのはたまらない。かなりの激務であるし、一定の時間、無理やり拘束されるようなものだ。その場合それなりのSTAFFも用意しなくてはならないかもしれない。

最近NHKで放映されたそうだが、いけめんの若い男子が、仕事をしないで、寄り添うだけで対価を貰って生活していると言う。これにはとても敵わない。

しかし、人の話を聴いて、対価を支払ってもらうのもアリだとおもう。対価を支払った人も、回を重ねることにより話が上手くなって、回収することも可能だ。

私は、時給2000円を出して話を聴きたい人がいる。お互いに時間が取れないし、そのLEVELについていけないが、20歳の学生さんには時間を取ってもらっている。

普通の人が話を聴いたり、話をして、金銭の授受があっても不思議はない時代であり、お互いに納得できれば、職業としても成り立つかもしれない。時代は、進んで?どこまでいくかわからないが、こんなやり取りが現代社会の隙間を埋めることになり、役に立ったら社会の多様性の一つとして認知されるかもしれない。

この記事を書いた人
伊藤武

斎藤清の出生地、会津で斎藤清版画ギャラリー「イトー美術」を運営している、いとたけ こと伊藤武です。
http://itobi.sakura.ne.jp/

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