忍び寄る老いの影

久し振りに、Oさんが来店された。83歳なのに、お会いする度に益々元気になるのが不思議。若い頃から働き者で、頑強な体の持ち主。毎日、二時間くらい歩くそうだ。悩みは、運転免許証の返上問題。信号に差し掛かる時、ほとんど、黄色信号になると言う。一度、他車にぶつけたそうだ。これでは、いつも危険と隣り合わせ。無事でいられるのが不思議と言う他ない。赤信号だったら止まるのは、勿論だが、青信号で交差点を通過しようとする時、行くか行かないかを、はっきり決めて、素早く、運転操作をして通過するか、諦めて信号で止まるしかないと話したが、多分、そんな事が出来るはずもなく、返上するのがBEST だと言った。但し、一概に言えないが、返上して、行動半径が狭くなり、認知症気味になるのが早まるのを見聞きしているので、困ったものだ。

何を隠そう、自分も忍び寄る老いの陰に怯えている。人は、歳に見えない?等と言ってくれるが、自分は、知っている。子供の時から、よく忘れ物をしたが、生来のだらし無さと、片付けが苦手。何か、キチッとやる為のROUTINEさえ決めていない。現在は、失くしもの、忘れ物が更に多くなっている。以前から、成るように成るし、何となくCLEARできたので、性懲りも無く繰り返すのだと思う。車のKEY,携帯、HOTELのROOM KEY,TABLET等必携の品々をよく忘れる。CLEANINGしたてで、気に入りのMUFFLER,三枚中二枚を、家に持ち帰る途中落とし、翌日、気がついたが後の祭り。翌日うろうろする始末。私は、特定の版画の売買が仕事だが、この度、仕入れのお金を安全なところに置き忘れ、そのまま出かけてしまった。何をか言わんや。武器を持たずに戦争に行くようなもの。恥づかしい限り。しかも、テキパキと物事を運べず,TIME LIMITになって、バタバタと慌てて行動する性癖も治らない。

人の名前を忘れることがある。お客様の顔はわかるが、名前を思い出せない時、心は、PANIC。STUFFがいる場合、SIGNを送り、調べるか、聞いてもらう。繋ぎの話?をして、何とか思い出そうとする時間は、心穏やかでない。著名人、芸能人、SPORTSU関係の人の名前がわからない時は、助っ人が教えてくれるか、自分でも、そのままにしないで、必ず思い出すようにしている。又、特定の人に同じ話をする場合があり得るので、「前に話したと思うけど」と言い、様子を見て話を続ける。

肝心の運転操作及び道路上の認識度合いについては、以前にも増して、運転MISS、見落としなどもなく、今日まで、無事でいられるのは、ありがたい。若い頃は、一年に2〜3回ほど、ヒヤーッとした事があったものだが。いずれにしても肉体と精神に支障をきたすことが避けられない時期を迎え、そんなの関係ないでは、済ませられない。ただ自分のことになると、冷静さを欠いて、甘い判断になるのだろうか。「健全な精神は健全な肉体に宿る」と言うが、必ずしもEQUALではないが相互に関連しあっているのは、確か。願わくば、相互に支え合って、生き永らえて、まだ見ぬ世界を堪能したい。以前から評判になっているネットの「18才と81才の違い」「意外とある!ある!シルバー川柳」が面白いし、自戒としたい。

この記事を書いた人
伊藤武

斎藤清の出生地、会津で斎藤清版画ギャラリー「イトー美術」を運営している、いとたけ こと伊藤武です。
http://itobi.sakura.ne.jp/

伊藤武をフォローする
雑感
シェアする
伊藤武をフォローする
いとたけのブログ

コメント