鮮やかな紫と黄、鉄線が凛として美しい

近くの和風食事処へ入る玄関までの路地に、季節ごと選りすぐった花々が植えられ、目を楽しませてくれる。梅雨までのひと時、特に、鉄線(テッセン)が見頃である。黄色の花心と濃い紫の花弁六枚が、深緑の蔓状の枝葉に支えられ、毅然と佇む姿は、はっとさせられる。洋名CLEMATISとも言うが、もともとは、中国と日本に自生していたものを交配して、EUROPEに広まったようだ。静岡県駿東郡長泉町(沼津の近く)にクレマチスの丘があり、色とりどりの花と他の花も見られるそうだ。来年は行くことができるだろうか。日本列島は、南北に長く、その緯度差により、桜だけでなく、多少、見頃がずれるのでありがたい。半月ほど前、会津若松から磐越道に入り、郡山JUNCTIONを経て、東北道の上り線に出て少し先か、郡山INTERの先の左側に、紫色の花の大きな塊があった。あれは、鉄線?藤?LILAC,紫陽花?何であったか、確かめたいのだが、来年まで待つしかないのかもしれない。

花の色は様々であるが、同じ色でも変化を楽しめる。薄紫の小さい花は、寂しげでもあるが、爽やかで、可愛げさえある。百人一首の「花の色はうつりにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに」という和歌は、花(桜?)の盛りが移りゆき、色褪せてしまったが、自分も何ということなく、歳をとってしまったという詠嘆の詩であるが、花の一瞬の美しさに出会えたことが素晴らしいし、再びの期待感もある。花卉等の知識が乏しいくせに、自分の好きな花等に心を奪われることがある。

思えば、花に無縁な幼少青年期を過ごしていた。母親が、無類の花好きであり、特に薔薇がお気に入りだった。何時でも、何処でも見られ、色が違うだけで、何ら変わりがないと思っていたが、通りかかった新宿のROSE GAALLERYを見て、考えが一変した。これまで何となく眺めていた薔薇とは、それぞれの色の違いが際立っていた。こんなにも人を魅了させる薔薇は、丹精込めた創作の賜物ではないかと怪しんだ。2018年、広島県福山市の薔薇園に脚を伸ばした。今年は、残念なことに、開催が中止になってしまった。

気まぐれな出会いにしか過ぎず、花の種類は、わずかしか知らない。これまで、一重の真紅の薔薇に始まり、こぶし、竜胆、鈴蘭、ヤシオツツジ、POPPY,LILAC,白木蓮、鉄線、アカシア、クチナシ、浜茄子、立葵、木槿、百合、蘭、秋桜、山茶花、椿等の姿、形、香りに魅せられきた。シュッとし、婉然とした姿に心騒ぎ、儚げで、可憐な花には、心寄せ、眺めていたくなる。他人におもねることなく、一方的に自分の思いを辿れるし、心が洗われる気になる。忙しい最中、お気に入りの花は、いっときの止まり木になり、小休止になると思う。

この記事を書いた人
伊藤武

斎藤清の出生地、会津で斎藤清版画ギャラリー「イトー美術」を運営している、いとたけ こと伊藤武です。
http://itobi.sakura.ne.jp/

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