何故か優しい、懐かしいCAFE

年3〜5回、出張で遠くまで行くが、宿泊は、必ずしも仕事先の町とは限らない。居心地がよいHOTELやREASONABLEな食事処、CAFE、SUPERなどがあれば十分だ。宿泊の為、転々とするより、そこを拠点として行動した方が、精神的にも、はるかに楽だ。そんな土地の一つ、四国、愛媛県の松山には、30年以上行っており、馴染みの店もあるが、最近、癖になる程通っているCAFEがある。仕事が上手くいこうがいくまいが、行きたくなるのだ。大街道の商店街から横断歩道を渡り銀天街に入り、一つ目の路地を右に曲がり30〜40m先の右側にある。10数種類の焙煎した珈琲豆の販売をし、一杯三百円でSTRAIGHT珈琲を味わうことが出来る、10人ほど座れる小さな店である。

最初入った時は、お世辞にも綺麗な店とは言えず、戸惑いすら覚えた。しかし、何故か落ち着くのである。自分を取り戻せたかのように。1985年に父親が別の場所で始めた「珈琲店 セラヴィ」[Ces‘t La vie(That,s  the  life)から名をつけた。]を2012 年、この地に移し、現在にに至っている。経営者、合田 創さんは、2代目。30代後半で、お笑い芸人の、ずん飯尾さん似の心優しき人である。何者をも、そっと受け入れてくれる雰囲気を醸し出している。何種類かの飲食業の経験もあり、午前6時半から午前中くらいは、道後温泉の旅館を手伝っている。午後1時〜午後8時まで、毎日、営業している。2020年には、午前中から始めたいと言う。

普通、飲食店の経営者には、それなりのAURAがあり、味もさることながら、それを心良しと思わない客は来ない。しかし懐が深い経営者の、この店には、種々の客が来るが、我が物顔に占拠する者などいない。皆、それぞれが棲み分けて、互いに迷惑がかからぬよう、常識を持ち合わせている。外の店では、素の自分になるのが難しいし、よそ行きの自分になっていることがわかる。ここは、他人の目を意識することなく、自由で自然に振舞うことができる。黙っていてもいいし、自然発生的に、なんとなくお喋りすることもあり、ゆったりした時間が流れている。DROP OUTしたくなった時など、もってこいである。来客は,、はからずも人生の失くしもの、忘れものを見つけに来たり、普通のRHYTHMの生活の中では、味わえないものを模索しに来ているような気がする。きっと、忙しい人達を寄り道させるSOMETHINGがあるのだ。ここを止まり木にする、素の人達には、親しみを覚える。こんなことがあった。偶然、東京の大田区に関係している三人が、ここで出会った。それぞれ隣街に住み、すれ違っていた。一人は、東京で勤めをしていた時、暮らしていたが、当地に帰ってきた50代の人、 もう一人は、住み慣れた土地を離れ、松山が気に入って移住した40代の人。互いに盛り上がって、話をしたが、名刺交換などしない。ここでは、そういうことをしない気軽さがある。また、いつか縁があったら会える。皆んなここでは、切実なものは、用なしであり、求めていない。人間関係が濃密でなくとも、何故か暖かいし、懐かしいのである。今では、なかなか見つからない秘密のSPOTなのである。
所在地 松山市湊町3丁目10-3  089(945)8954

この記事を書いた人
伊藤武

斎藤清の出生地、会津で斎藤清版画ギャラリー「イトー美術」を運営している、いとたけ こと伊藤武です。
http://itobi.sakura.ne.jp/

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