馬子にも衣装、見た目も大事

昔、陰口で「馬子にも衣装だね!」なんて言ったものだ。まさか、ここ一週間くらいで、それが必然なことだと再認識させられるは思わなかった。東京近郊の新しい取引先に出向いた。当方が客の立場であり、事前に営業の者と打ち合わせを行い、詳細の取り決めを行う為だ。先ず先方の駐車場に、たまたまいた上司の方と出う。歓迎の姿勢が見えないのだ?何か私を吟味している感じであった。普通だったら寄ってきて、「遠くから来ていただきまして、ありがとうございます。」程度の挨拶をするのが当たり前。しかも今後、相当量の受注が見込めるのは、聞いているはずだ。場を移し、三人で話し始めるや否や、そそくさと「所用がありますので、失礼します」と言ってその場を去った。忙しそうには見えなかった。こちらも相手の態度をずっと観察していた。帰途、憤懣やるかたない思いだった。馬鹿にして!、軽くみられたものだ! 「馬子にも衣装」が脳裏にちらついた。省みるに、致し方のないことと納得せざるを得なかった。地方ナンバーの車で、(20年来、大事にしている)よれよれの色焼けしている(渋い感じの)ジャケットを着た白髪だらけの、くたびれた老人が現れたのだ。大丈夫かな?と思ったに相違ない。自分が世間知らずだったのだ。

早速、デパートの紳士服売り場で、目に留まったものがあり、新人らしき女性の説明を受けていたが、彼女は、すぐ近くにいた上司に相談に行った。その都度、彼は面倒くさそうな顔をし、気の無さそうな返事をしていた。結局、俺の出番かみたいな表情で登場し、購入することになった。この上なく不愉快になった。彼が最初から来ていたら多分スルーしていたと思う。我慢出来ずに言い放った。「新人さんには、丁寧、親切に接してね。先日もこのデパートの靴売り場の男性に声をかけたし、大事にしなければヘッドハンティングしちゃうよ。」返す言葉もしどろもどろで、表情まで読み取れなかったが、明らかに当惑していたようだ。後に思ったことだが、私が相手にとって、手応えを感じさせなかったので、グイグイ来なかったのだろう。多分、風采、年齢、羽振を考慮しての事。やはり見た目か?

2〜3日後、修理の車を取りに行った。今度は、社長に「元気そうだね!若返ったよ!」と言われる始末。がーんだ。4〜5日前、車を出しに行った時は、よれよれの、なりをしていたはずだ。やっぱりね、そうだよね、馬子にも衣装か!この一連の話を妻にしたら、該当するジャケット二枚、捨てられた。普段は、私が、ちょっとお洒落をすると「今更、誰に見せるの!羽振りが良くて、若くないと、誰もついて来ないよ!」と言うくせに、今度は、「だから言ったじゃないの!年寄りなんだから、汚いなりをしたら駄目!」

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