私に食レポやらせてください!

今でも、いい年をして三度の飯を忘れるほど好きなこと、夢中になれるものが見つかっていない。

中学から高校にかけて何の取り柄もなかった自分が、家庭のおかず、乾物屋(お惣菜等を含めた小さな総合食料品店)の食料品、外食等の美味い不味いについて得意げに話していた。

その頃は「男子厨房に入らず」の時代。専門家を除いて男がキッチンに入ったり、食べ物について語ることなど、もっての外という風潮。案の定、2歳上の兄が「旨い不味いなんて誰でも食べればわかるし、聞きたくない、くだらない!」と一刀両断にされ、存在意義さえ否定されたようで、唯一の逃げ場を失い落ち込んでしまった。以後その話題は封印していた。(兄とは今でも利害得失のない話題で盛り上がっているが食べ物の話はほとんどしない。)

何十年も経った今日、グルメレポ、食レポをテレビで見ない日はない。その内容たるや、ぃささか疑問に思う。スポンサー、取材先に遠慮して何でも美味いと言わなければならないようだ。ギャラを貰えるとは言え気の毒である。

又レポーターの表現力の欠如とボキャブラリー不足でおいしさが伝わらない。ふわふわ、モチモチ等オノマトベを多用したり、こくがある、歯応えがある等、汎用出来るアバウトな言葉を駆使し、にっこり笑った映像を見せ、出来上がり。

食に関心があり、味音痴でない、相応わしい人が選ばれているのだろうか?それとも、そんなことはどうでもよく、有名人、たたずまい、食べ物をセットで見せ、視聴率を取ればいいのかもしれない。しかし実に勿体ない。

内容があり取材に手間暇をかけた食レポ、グルメレポは、町おこしのツールになると思う。全国の町で賑わいを取り戻し、景気浮揚に役立つかもしれないのだ。

そこで提案がある。東京には、あらゆる情報が集まり、高級だが雰囲気、人、味の三拍子揃っている店、ちょっと無理しても行きたい店、大衆に支持される店等が揃っている。発信力もあり、人も多く、一躍人気店になるのも早い。

地方はどうだろう。まだ全国区になっていない、知る人ぞ知る、美味しい食べ物を扱う店が頑張っているが、人が押しかける程の賑わいを見せていない。

そんな地方の店に、然るべき人達が、独自の視点で潜入調査をし、前例にとらわれずに、情報を集め新たな名店等を掘り起こす。。その費用は、中央、地方のテレビ局が負担するのだ。それを以って、テレビ局は発信力があり、食にこだわりを持つなど、相応わしい著名人に依頼し、番組を造り、スポンサーを募る。

地方振興に繋がる誠実な番組を放映すれば、人はこぞって地方に集まる。その地に故郷を持ち、他の都道府県に住んでいる人は、懐かしくも誇らしく感じ、地元に住んでいる人は、灯台元暗しだったことに気づき、改めて良き町を実感するかもしれない。

食は生活であり大切な文化の一つではないだろうか。こんな食の調査の末端に加われたら望外の喜びであり、自分の仕事を割愛してでも駆けつけたい気持ちになるのは自分だけであろうか。

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