外来語礼賛?

ある地方で高名な社長が、私に二時間以上本業以外の夢を語った時、CONCEPTという言葉を十数回使った。話の筋がわかっていたし、閉口しながらも熱い話に耳を傾けた。多分、講演会かSEMINARでこの言葉を聞き、我が意を得たりと使い始めたのだと思う。新型コロナ絡みの報道で、TVのCOMMENTATOR がフレキシビリティー(FLEXIBILITY・柔軟性・融通性))という言葉を使ったが、あまり聞き慣れていなかったので違和感を覚えた。

従来、識者や業界人が、まだ一般的になっていない外来語をSTRAIGHTに使うのを苦々しく思っていた。しかし、この度、この認識を改めなければいけないと気がついた。日本は、言葉も他の文化も外国等から積極的に取り入れて今日がある。保守と革新のせめぎ合い、切磋琢磨で進歩と発展が開ける。言葉も、〜ぶる、気障だと揶揄されようが、勇気をもって使われなければ、流行らないし、日本語の中に取り入れられない。むしろ、自分みたいに、一般的になってから使い出すより、確信をもって、目新しい外来語等を文脈の中で使う人が賞賛されるべきかもしれない。又無理に外来語を日本語に翻訳するより、そのまま、使った方が、微妙なNUANCEが伝わり、便利な場合もある。

RESPECTという言葉が、安易に、気軽に使われるのをやり過ごしてきたが、私なりに解釈すると、「尊敬」では、堅すぎて重い言葉になる。今、使われている「RESPECTする」は、軽いノリで使われる「尊敬する」ということで、相手との距離感、人間関係を考慮すれば両方とも使い分けられる。MOTIVATION という言葉は最早、日本語化しており、なくては困るほどだ。ATHLETE・SPECIALIST・ARTIST等々も同様。文章中、漢字と平仮名のBALANCE が良く、最小限のカタカナが使われれば、見た目にも美しい。際限なく、片仮名を使用すれば読みにくいこともある。英語のGLOBAL 化もあり、ひとつの試みとして一般化している言葉を英語表記にしてみた。SPELL・発音・INTONATION 等を感ちがいして記憶、使用していることに気付かせられる。又、JAPANESE ENGLISHとしては通用するが、英語圏では通用しない表現も発見できる。

古来、日本語は、表意文字である漢字を取り入れ、表音文字で略語のカタカナになり、平安時代、平仮名の使用に到リ、相互に融合し発展してきた。明治維新後、主に西洋語に相当する漢字をあてることにより、日本語の幅も広がった。更に、日本語に置き換えにくい言葉をそのまま使用する事で、VOCABULARY (今では、語彙より使用頻度と認知度が高いかもしれない。)が増え、表現が豊かになり、ものを見る、考えるTOOLとして、言葉が VIVIDになる。日本文化の根幹である、美しい言語文化を享受出来る日本語圏に生まれて、よかったと実感する、この頃である。

この記事を書いた人
伊藤武

斎藤清の出生地、会津で斎藤清版画ギャラリー「イトー美術」を運営している、いとたけ こと伊藤武です。
http://itobi.sakura.ne.jp/

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