ちあきなおみさんの「かなしみ模様」の歌詞に、「一人が似合う人もいるけど、わたしには、似合いそうにない」とある。歌の世界とは言え、小粋な別れをしたものの、言いようのない寂しさと悲しみに襲われ、せつない胸の内を吐露する歌唱力に感動すると同時に、そんな人がいたら同情を禁じ得ないと思う。一人が似合う人なんかいるはずがないからである。
かつて、あれほど輝いていた歌手兼女優さんが結婚し、五年を経ず、離婚した。その後、何十年も幸せそうな姿を拝見していない。離婚後、物欲しげに見える、人の目に触れる場所には、一人で行かないようにしたとの話しをご本人が語っていた。彼女のPRIDEや矜恃からして相容れない事だったのかもしれない。そんなに、無理して生きなくてもいいし、人間は、どうせ一人では、生きて行けないから。
一方、最近、TVで「ポツンと一軒家」という番組が人気があるようだ。人間関係に倦み疲れた人が、非日常に思いを馳せて楽しんでいるようだ。とかく、人は一様でないから、面倒くさいし、面白い。
自分を省みるに、孤独で自信がなかった時でも、一人が似合うなんて思ったことがなかった。長い道のりであったが、きっとその時が来ると信じ続けた。一人が似合う似合わないは、本人の思い込みや他人の勝手な決めつけに過ぎない。人間は、生来、人や社会の影響を受け、生きていくものである。男女間に限らず、他の人と無理なく親しくなったり、理解してもらいたいという欲求が心の底にはあると思う。
私が、もし仕事で長期に渡り出張を繰り返し、PRIVATEが、ただ食べたり休むだけであったら、堪えられない。孤独地獄で心が荒み、生きて行けないのではないだろうか。誰彼なく話しをしたいほど飢えているわけではない。波長が合いそうだったり、合わせられる人に対し、勇気をもって踏み出す準備はいつでも出来ている。
しかし、人から先に声をかけられた記憶がない。多分、それだけのAURA がないのかもしれない。もし、人から、遠慮がちに、親しみをもって声をかけられたら、戸惑うことがあっても嬉しくない人はいないのではないだろうか?そっと声をかけたりかけられたりしながらも、心に潤いが広がり、お一人様でないことを意識し、前向きに生きていける。
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