カマイタチ女は、苦手?

「かまいたち」と言う漫才コンビがいるが、以前からこの言葉に関心があった。

多分、里山か何かで、イタチのような動物に噛まれたかのように、突然ふくらはぎ、腿などに痛みが走るが、その刺激痛は長く続かない。具体的に痛み痕が残るわけではないが、不思議な痛さで、自分も何回か経験し記憶に残っている。

一方的に話しをされ、激しい侮辱・叱責・批難・説教等が含まれ、抗弁が許されなかったら、出会い頭にカマイタチに出会い、被害を被ったようなものだ。

今までも、職業上多くの人と話をしたが、決定的な事件はほとんどなかった。しかし、3年位前に起きた件では心がざわついた。

仕事の為、人口6〜7万の大河ドラマの舞台になった地方都市に出向き、午後二時の約束のもと、ご高齢のご夫婦を訪ねた。二時間ほど待たされたが、先客の40代半ばの女性が帰らぬまま、居間に通された。その方主導の世間話が終わらないので、自分も恐る恐る加わり、気づいてもらい、お帰りいただけると思ったが、突然ガーンとやられた。まだ話が終わっていないのに失礼だ!と一方的にまくしたてられ、叱責されたのである。

反論せず、彼女が帰った後聞いた話。いつもあんな感じだと言う。ご夫婦とも東京の名門私立大学出身で、就職したもののご主人が郷里でやりたい事の為、更に別の大学に行き今日を築いたが、その間奥さんが支えたそうだ。地方の名士であり、更に40〜50キロ離れた大都市で大きな事業を営む。奥さんは、この地でFANCY GOODSを揃えた小洒落たCAFE を経営しており、八面六臂の活躍だそうだ。成功者になった人の妻として、若さがあり、聡明で、自負心もあり、面目躍如と言うところだ。

憤懣やる方ない思いで、辞去して、以前にも行ったそのCAFE に入り、STAFFの方に言い放った。「お店の経営者は、カマイタチみたいな女だ」と。快哉を叫びたい気持ちであった。その後、出禁になったのは言うまでもない。一年も経ず、偶然彼女に銀座で呼び止められたが、呆然と見送るのみだった。

ごく最近その話をすることになったが、相手の方は私より20何才も年下だが、一家言のありそうな貫禄がある方である。その言葉は絶対に言ってはいけないし、本人に直接言った方がまだよかったと強く説諭された。

その後、考えた。彼女は何で「カマイタチ女」と言われたのかわからないし、考えないと思う。それよりも言われたことが沽券に関わり、PRIDEを傷つけられたのであろう。しかも、「カマイタチ男」に暴言をくらったくらいにしか思っていないかもしれない。二度と他人に言わないが、あれはあれでよかったのだと思う。

その街に今でも時々行くが、もし出会ったら「あの時は、ごめんなさい」と言える。とかくこの世は、ちょっとしたことで面倒なことが起きるものだ。

この記事を書いた人
伊藤武

斎藤清の出生地、会津で斎藤清版画ギャラリー「イトー美術」を運営している、いとたけ こと伊藤武です。
http://itobi.sakura.ne.jp/

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