肉親への深い絆と他人への無償の愛・信頼を対比して…

最近、知人が、嫁いでいる40代の長女を突然の病で亡くした。遺されたのは、お婿さんと小学生の男の子。悲しみは如何ばかりか思いやられた。その後、何回かお会いする機会はあったが、仕事にかこつけ、さっと引き上げた。三週間ほど経ち、さりげなくその話題に触れた。平静を装っていたが、みるみる悲しみに暮れ、ご長男が東京におられるが、ご自身が病弱で、彼女を頼っていただけに、その想いは深く、茫然自失の程。お孫さんを溺愛しており、成人するまで、自分達夫婦が母親代わりを務める決意等聞かされた。改めて肉親に対する深い情にほだされた。最近は、事件、事故で肉親を失っても、悲しみを堪え?坦々と経過を話すなど、時代が変わったのかと思わざるを得ない。

他方、DRAMAの世界ではあるが、無縁な他人の子供を迎え入れて、血縁以上の関係性を築く話もあり、あり得るのだろうか等考えさせられている。 NHKの朝ドラ「なつぞら」である。戦後の1945年以降、北海道の開拓、酪農一家が、戦友が連れてきた、みなしごの女児を引き取り、家族になり、彼女がANIMATORになる話である。各俳優陣の好演もあるが、特に祖父役、草刈正雄さんの演技が秀逸で、話を嘘っぽくさせていないのである。開拓者の厳しさと、たくましさが滲み出ており、無骨な中にも、慈愛溢れる役所に酔いしれている。長い時の流れと、それを暖かく見守ってきた家族だから出来た、人間味溢れる絆を感じさせてくれるのだ。真田丸をはじめ、ここ二、三作の出演でも、脚光を浴びており、目が離せない。彼を主演にした骨太の作品で、又、いぶし銀の演技をみたいものだ。

核家族化が進行し、肉親でも家庭崩壊が表面化している今日、他人でも家族になれるのであろうか。「なつぞら」を見るにつけ、別世界の話のようでもあり、古き良き時代のことのようでもあり、懐かしささえ覚える。ただ人間は、性悪な部分もあるが、性善な部分もあるはずだ。ちょっとしたきっかけで、友達になったり、親しみを感じたりするものだ。こんなことがあった。商売をやっているので、それが災いして、親しくなりにくいのであるが、最近、ある人の目線が変わったように見えた。以前は、お客様対GALLERYの関係に過ぎなかったが、親しみを込めFRIENDLYになったのだ。わずかのことで、関係性も変わるのだ。多分、自分も何か発信していたのではないか。そんなこんなで、人間が善意と信頼で新たな絆を作れれば、棲む処がより住みやすくなり、楽しいCOMMUNITYができるのであろう。先頭に立つことは、出来ないが、紡ぐことぐらいは出来るかもしれない。

この記事を書いた人
伊藤武

斎藤清の出生地、会津で斎藤清版画ギャラリー「イトー美術」を運営している、いとたけ こと伊藤武です。
http://itobi.sakura.ne.jp/

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