仕事冥利につきる…だからやめられない!

私は、斎藤清の版画を売買しているギャラリーを運営している。実は、一昨日、滅多にない感動の体験をした。東北地方で、ご夫婦二人で果樹園を経営しているお客様さまに、かねてからご依頼の人気作品が入荷した旨ご連絡した。その作品は、10年以上前、東京のデパートで販売していたが、買い損なった、どうしても欲しい作品とのこと。確かにその方だけでなく、ホームページに画像を登載したら、引きも切らず問い合わせがある作品。迷った挙句、敢えて掲載しないで、どなたに差し上げるか20日ほど考えた。Gさんにとの結論をだし、電話し、運良くも携帯に繋がった。仕事柄、繋がることが少なかったのでびっくりした。後日お伺い、お届けしますと申し上げた。もう既に夕方だった。

後に聞いた話だが、ご主人は、直ぐに仕事をやめて、転がるように家に帰って来たそうだ。奥さんに、朗報!朗報!と大声を出したとのこと。当然、奥さんは怪しんだそうだ。何故いつもより早く帰って来たか?訳を聞き二人して大喜びしたそうだ。その後、お二人がどんな事を話したか想像に難くない。

翌日、二人してお昼前、店に飛び込んで来られた。大きな声で、明るく、おはようございます!誰かに売られてしまわないかが心配で、剪定の仕事?を一時中断してやって来たそうだ。しかも高速で2時間もかけて。お土産も渡され、感謝とお礼をなんども言われた。何か妙な気持ちになった。価格もかなりお高いのに、安いと言われる。お礼と謝意を述べるのはこちらの方なのに…。急いで、ささやかなお土産を用意出来たのが、せめてもの救いだった?Gさんに差し上げてよかった!いい仕事をした!

通常、物品の取引には、販売者と購入者がいる。昔から、購入者は、販売者にとって神様扱いされて、王様のごとく振る舞い、時には、上から目線の人もいた。その反面、販売者は、卑しめられ、セールスされる感を持たれることが多かった。近年、双方のイメージもだいぶ変わり、威張る人も卑屈な人も少なくなった。時の経過に伴い、斎藤清、版画作品の価値が高まるにつけ、より気持ちの良い環境が作られている。一般的には、趣味の品のコレクターは、鷹揚なのであろうか?お客様と作家の作品に感謝!感謝!

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