瓢箪から駒?

家庭外で仕事をしていた男性が、大半、家に居るようになると、三度三度の食事の世話等で配偶者の負担が増え、ストレスが溜まることにより、家庭環境が悪化し、やがて疎ましくなってくるようだ。自分の家とて例外ではない。しかも何十年も、おさんどんをし、そろそろ楽をしたいと思っている矢先に、余分の仕事が増えるのである。このところ、出張も少なく、このままでは、危機を迎えてしまう。元々家事をしない、出来ない人間なのだが、今まで最小限の事しかしていない。ゴミ出し及び仕分け・新聞、郵便物の取り入れ・配膳・片付け・風呂掃除・買い物。重いもの運び・メッシー・アッシーの真似事等。主婦の負担に比べれば、わずか数%であるのは理解している。更に、自分にできる事を探してはいるが、仕事のことが頭を離れず、思うようにはいかないものだ。

妻に、自分の好きなものを買ってきていいと言われている所為で、食材の買い物は億劫でないし、楽しい。しかし、未だに妻の好きな食材が見当たらず、困惑している。生花がお気に入りだが、それとてピタッとくるものでないと難しいし、もはや諦めてはいる。成るべく自分だけしか食べられないものを避け、妥協して貰えるものを念頭に入れている。それでも手のかかるものや、昔、食べていた懐かしいものをチョイスすることがあり、新たな負担を強いることになる。高野豆腐、芋柄等の手のかかる食材。惣菜では、時には刺身も買い。煮物や鮭等焼き魚を選ぶことが多いが、「味付けが濃いし、添加物も多く、国産が少ないから、吟味し、ほどほどにする」で合意している。先日も筍の煮物を買ってきたが、やはり不評であった。その時、反転攻勢に出てみた。「今後、それぞれの旬の食材を年に一回程度、調理してもらい、大半は、差しつかえない惣菜で補い、たまには外食して気を紛らす」何かいけそうな気がした。楽してもらうことと相反するが、メリハリが出て、食生活に潤いと変化が出て、気分転換にでもなれば有難い。まさに瓢箪から駒になれば、戦略が功を奏し好都合である。

アフリカの北端のモロッコに、バーバリーマカクと言う日本猿に似た、絶滅危惧種の集団が棲息している。この地から東に移動。東南アジアを経て、日本に渡ったのだが、途中の地域では、ほとんど生き残れなかったようだ。食べ物も少ないが、天敵が少ないことで、この地にも残った。北は地中海、南はサハラ砂漠。モロッコの暗い森をテリトリーにしているが、子育てが独特。父親猿だけでなく、他の雄猿、若い猿も、歯を噛んで、ガタガタ音をせながら子猿をあやし、子守、子育てに、積極的に参加している。これが上手く出来ると雌猿の信頼を勝ち取り、生殖活動が有利になるそうだ。

ここのところ、オリンピック関連で、女性差別、蔑視等が問題になっている。たまたま、二つの女性営業専門職の話題になり、呼称を〜レディーと言ったらスタッフの一人に褒められた。意識して使ったわけではないが、自分のような後期高齢者は古い体質が宿っているのを認めざるをえない。そんな時代の残り火も今は過渡期だと思うので、もう少し、待ってもらいたい。しかし古い体質の男性が、そのまま、家庭にどっぷり浸かり、自らの時代の悪弊に気付かずに、配偶者の望む事に関心を持ち、多少でも古い衣を脱ぎ捨てなければ、厄介者扱いされるのは必至。猿ですら進化し、雌猿の子育てに協力し、自分をアピールし、歓迎されることにより、居場所を確保している。相手は、人間なのだから、より歓心を買うのが難しいし、男性がクリアーする障壁は、高く、数も多いということを心がけていなければならないのだろう。

この記事を書いた人
伊藤武

斎藤清の出生地、会津で斎藤清版画ギャラリー「イトー美術」を運営している、いとたけ こと伊藤武です。
http://itobi.sakura.ne.jp/

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